→脳をスッキリさせたい
→乳酸について知りたい
乳酸の力
今回は皆さんが思いがちな【乳酸】についての誤解を解消していきたいと思います。
まず皆さん、乳酸と聞いてどういう風なイメージを持たれますか?
「筋肉痛の原因が乳酸だ!」
とか、
「身体が疲れた時に出てくるのが乳酸だ!!」
と思っている方が大半なのではないでしょうか。
実はそれだけではないんです!
今回は負のイメージがある乳酸の素晴らしい力についてお話ししていきたいと思います。
運動中の脳のエネルギー源は何だと思いますか?
全身の組織の中で唯一 大食いな脳みそ。
これのエネルギー源は、『糖質』です。
但し、これはあくまでも[普段の時]という条件がつきます。
糖質をエネルギー源とする脳は、ひとたび運動を始めると別のエネルギー源を餌にして作動していきます。
なにを隠そう、それが『乳酸』なんです。
運動によって糖質が分解されるとピルビン酸という物質になり、一部は細胞内のエネルギー工場である、ミトコンドリアに取り込まれて多くのエネルギーを作り出してくれています。
そして大部分は乳酸へと変化します。
運動を続けて体に乳酸がたまっていくと細胞の活性が低下して疲れを感じるようになります。
これによって乳酸=疲労物質というような皆さんが思っていることになりがちなんです。
これが長い間信じられてきた常識じゃないでしょうか。
でもここ数年で乳酸がエネルギー源として再利用されることが分かってきました。
これで乳酸の負の疑いがひとまず晴れましたかね。
実際、立命館大学の教授は運動を開始すると乳酸を運ぶ分子の量が活性化して、ミトコンドリア内に直接乳酸が取り込まれることを突き止めました。
それだけでなく脳のエネルギー源として活用されていることがここ近年わかってきたんです。
脳に取り込まれる糖質の乳酸の量を測定してみたところ、運動強度が高まるにつれて糖質の取り込み量が減って、逆に乳酸の取り込み量が増えていきました。
つまり運動時は乳酸が糖質に代わって脳みそのエネルギー源になっていくんです。
大昔、人が狩猟で生活していた時代に、延々と獲物を追いかけて走り回っていた時や、現在なら遅刻ギリギリで駅の階段を駆け上がっている時とか、脳みそは乳酸を燃やしてエネルギーを得ているわけなんです。
ここで問題ですが、サッカーのゲームでは前半と後半のどちらが血中の乳酸量が多いと
思いますか?
ゲームが長引くほど糖質が分解されてどんどん乳酸が増えるから・・・
後半。
実はそうではないんです、答えは前半です。
というのも乳酸は主にグリコーゲンという形で筋肉に蓄えられている糖質が分解されて出来ているからです。
糖質は脂肪のように体内に大量に蓄えられないんです。
体脂肪は10㎏でも20㎏でも見境なく蓄えられるのに対して、グリコーゲンは肝臓に100g筋肉内に400gの計500gしか身体に貯蔵出来ないんです。
肝臓のグリコーゲンは主に血糖値の維持に使われるので、運動時のエネルギー源として使われるグリコーゲンは筋肉にあるわずか400gです。
材料となるグリコーゲンが運動中にどんどん減っていけば乳酸の量も減っていきます。
従ってサッカーのゲームやマラソンなどで後半になるほど、頭は朦朧(もうろう)として判断力が鈍くなっていくんです。
運動開始直後に、体中でいかに乳酸を作り出せるかが最後までパフォーマンスを維持出来るかの決め手になるというわけなんです。
では脳と筋肉がエネルギーとしての糖質をとりあいっこする結果、脳は枯渇していくグリコーゲンの変わりに乳酸を使っていくようになったのでしょうか。
こうした考えは乳酸の実力をまだ舐めている証拠ですよ。
筋肉自体も運動時に乳酸をエネルギー源として使っています。
心臓は特にそれが著明です。
安静時は脂肪の約8割程度からエネルギーをとっていますが、ちょっと散歩に行くだけでも
5割程度の乳酸をエネルギー源として利用するようになるんです。
つまり乳酸は運動時のエネルギー源としてとても重宝する物質というわけなんです。
糖と乳酸を分けて考えること自体がそもそも間違いなんです。
グリコーゲンが分解されてできるピルビン酸と乳酸は安静時で1対10くらいなんですが
運動するとこれが1対100ぐらいの率になるんです。
ピルビン酸のほとんどは乳酸になって、直接ミトコンドリア内でエネルギー源として利用
されています。
グリコーゲンが丸太だとすれば、乳酸はより使い易いウッドチップみたいな燃料のイメージでいいんじゃないでしょうか。
すごいぞ乳酸!!
というような感じで、今回は乳酸の凄さをお伝えさせていただきました。
「運動時に脳みそのエネルギー源になるのは乳酸なんです」という事実をしっかりと覚えてもらったら、また乳酸への考え方が変わるんじゃないかなと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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